マンションの遮音フローリング張り替えは、施工不良が多いリフォームのひとつです。
今回は、マンション用フローリングの張り替え時にどんな施工不良が発生しやすいか、また原因は何なのかについて詳しくまとめます。
マンションで遮音フローリングのリフォームを検討している方は、この記事を読んで絶対損は無いはずです!
マンション用遮音フローリングの特徴
出典 toolbox
まずはじめに、マンション用の遮音フローリングについて簡単に説明しますね。
コンクリートスラブ(コンクリートの床)に直接張りつける、もしくは二重床(置床)の遮音値が取れていない仕様の場合、遮音フローリングを使用します。
マンション用遮音フローリングは、フローリング材の裏面にクッション材が接着されているのが特徴です。
マンション用遮音フローリングは色々な呼称がある
遮音フローリングは、他にも色々な呼称があります。
- 防音フローリング
- 直貼り(じかばり)フローリング
- L45フローリング
- クッション付きフローリング
- マンション用フローリング
遮音値が高いほど歩行感が柔らかい
出典 toolbox
カーペットからフローリングに張り替える場合は、お住まいのマンションによって「遮音等級 L45以上のフローリング材を使用しなければならない」と規約が定められていることが多いです。
遮音フローリングは、フローリング材の裏面にクッション材が着いていますので、歩行感は柔らかく、カーペットの上を歩く様な感じで「ふかふか」「ふわふわ」します。
遮音等級は、L45という値が一般的ですが、より高いL40は更にクッション性が高く、L45よりも柔らかいのが特徴です。
必ずマンションの規約通りのフローリング材を使用しなければならない
カーペットからフローリングに替えるリフォームをしたいと相談を受ける際、フカフカのフローリングは嫌いなので、一般的な堅いフローリング材にして欲しいとお願されることが多くあります。
しかし、マンションの規約に基づいて、遮音値がとれるフローリング材で施工しなければなりませんので、勝手に仕様を変えることはできません。
マンション規約を無視した仕様でトラブルも!
マンションのフローリング張り替えリフォームをする場合、事前にリフォーム申請書と仕様書を提出し、許可が出てからリフォーム開始となります。
当然ですが、マンション規約を無視し仕様を変更すれば大きなトラブルになります。
「マンション規約通りのフローリング材にしなければなりません」とリフォーム業者の忠告があったのにも関わらず、マンション既定の遮音値を無視して、自分の好きなフローリング材で強引に依頼しようとする方がいます。
優良なリフォーム会社は、マンション規約を無視してまでリフォーム工事を受注することはありません。
なぜなら、必ずトラブルに発展してしまうことを知っているからです。
マンション規約を守らない悪質な業者に注意!
マンション規約を守る優良なリフォーム業者さんが殆どなのですが、稀にルールを無視してあなたを誘う悪質なリフォーム業者もいます。
例えば・・・
「リフォーム申請書には規約通りの仕様書を提出し、実際はお好きな床材で施工しますので問題ありませんよ」
「規約では遮音等級がより高く値段も高いL40のフローリングを貼らなければならないですが、L45のフローリングを貼ったとしても誰にもわかりませんよ」
このように、マンション規約を無視してもバレないと言うようなリフォーム業者に依頼してはいけません。
なぜなら、特に規則に厳しいマンションでは、仕様書通りのフローリング材を使っているかどうか、材料搬入時に調べが入ったり、工事中に抜き打ちで調べるところもあるからです。
マンションの規約を無視した仕様で、騒音などによるトラブルが発生した場合、マンション管理組合から是正するよう求められます。
応じない場合は裁判沙汰になり、規定通りのフローリング材に張り替えさせられますので、必ず規約を守るようにしなければなりません。
マンション用の遮音フローリング施工不良トラブル事例と原因
マンション用の遮音フローリングに張り替えるリフォームでは、施工不良トラブルがとても多いです。
マンション用遮音フローリングでの施工不良トラブルとは、「実際どんな施工不良があるのか?」「なぜこのような問題が起きてしまうのか?」について詳しく解説していきますね。
施工不良の原因は大きく分けて2つにわけられます。
- フローリングの見た目に問題がある施工不良
- フローリングの接着剤関連の施工不良
それでは、一つずつ詳しく解説していきましょう。
フローリングの見た目に問題がある施工不良
施工不良の指摘で一番多いのは、フローリングの見た目が悪い施工不良です。目地の隙間や突き付け部分の隙間、表面の浮きや波打ちなどが多いです。
フローリング目地のすきま
フローリングが組み合わさる目地が部分的に隙間が開いているのはとても目立ちます。表面から下のサネが見えてしまうくらい大きく隙間が開いている場合の殆どが施工不良です。
遮音フローリングは床面全面にウレタン接着剤を塗り、フローリング材を接着しますので、目地が開いたままの状態ならそのまま固まります。
ですので、隙間が開いてしまう施工不良の原因は、フローリング材を張りつける際、既に開いてしまっていることに気付かないで作業を終えてしまう事が原因です。
ウレタンボンドは固まるまでとても動きやすいので、固まってしまう前に目地が開いていないかを確認します。
「所々締めつけて、くさびを打つ」「必要であればテープで固定し離れないようにする」「最後の一列を貼る前に隙間を確認し貼り終える」など隙間が開かない工夫をすることが一般的です。
マンション用フローリングの施工になれた職人さんなら、大きな隙間にならない施工が可能です。
フローリング突き付け部分のすきま
マンションのフローリングは部屋ごとを仕切る床見切りや、敷居、玄関の上がり框、収納家具やサッシ枠などピッタリ突き付けて施工する部分があります。
冬場の乾燥する季節で過度に暖房や床暖房を使用すると全体的に隙間が開いてしまう事がありますが、工事完了直後の隙間は確実に施工不良です。
職人さんの技術的問題で、丸ノコによる切断ミス、もしくは寸法を取り間違えた可能性が高いです。
少しの隙間であればジョイントコーク、ボンドコークなど、フローリングと同色のコーキング材で隙間を埋めます。
コークを充てんしても、なんとか綺麗な仕上がりに見えるのは0.5ミリ、大きくても1ミリまでの隙間までと思ってよいでしょう。
2ミリ以上大きく開いた隙間をコークで充てんしようとすると、後にコークの色が変色して目立ったり、ホコリが溜まるなど汚らしい仕上げになります。
フローリングの浮き
遮音フローリングは釘で固定しないため、フローリングが浮いたような状態になることがあります。
フローリングの浮きは、部屋の真ん中に起こる浮きと、床見切りや玄関の上框周辺で起こる突き付け部分の浮きがあります。
部屋の真ん中に起こる浮き
気密性が高いマンションのフローリングは、生活環境や換気の仕方、エアコンや暖房(床暖房)のかけ方などにより湿度が大きく変化します。
特に遮音フローリングは湿度の影響を受けやすく、大きく伸縮すると所々浮いてしまう事もあります。
しかし、フローリングが浮いてしまう原因は、フローリングを固定する接着剤であることも考えられます。
遮音フローリングは床全体に接着剤を撒いて施工しますが、接着剤を撒いてからの時間がとても重要で、時間が経過して表面が半乾き状態ですと接着力が弱まります。
本来の接着力が失われた状態でフローリングを並べると、少しの伸縮ですぐに浮いた状態になることもあります。
突き付け部分の浮き
床見切りや玄関の上框周辺で起こる突き付け部分の浮きは、際根太(きわねた)の入れ方に問題があることが多いです。
突き付け部分が沈まない様にクッション材を抜き、同じ厚みの薄ベニヤを入れる際根太入れという工程があります。
あまり遮音フローリングに慣れていないリフォーム業者さんですと、際根太を正しく入れることができず、突き付け部分で浮いてしまう施工不良になってしまいます。
フローリングの波打ち
フローリングの波打ちは、部屋全体的に波打っている様な場合は、施工不良と言うよりも下地の不陸(下地が平滑でない状態)が原因である事が多いです。
壁際のフローリングで、巾木下の隙間が開いていたり、くっついていたり均一でなく波打っている状態なら施工不良と考えてよいでしょう。
壁際のフローリングを固定する際、くさびを使用して固定することが一般的なのですが、「くさび」を強く入れすぎた場所が沈み過ぎて固まってしまうことが壁際の波打ちの原因です。
フローリングの接着剤関連の施工不良
マンション用遮音フローリングでの施工不良で最も多いのが、接着剤関連の施工不良です。
接着剤付着
マンションの遮音フローリングリフォームで一番多い施工不良トラブルは、フローリング表面についてしまった接着剤跡です。
遮音フローリングは、とても強力な接着剤「ウレタンボンド」を使用しますが、職人さんが手に付着したことに気付かず作業を進めてしまう事で、あちこちに付着していることがあります。
また、一滴の接着剤を足で踏んでしまい、ハンコ状態であちこちに広がってしまう事も多いです。
部屋中に接着剤跡をつけてしまうリフォーム業者の殆どが、付けてしまった事に気づいておらず、施工完了後に第三者により指摘され気付きます。
一度接着剤がついてしまった場所は、擦っても綺麗に取れないので、表面のツヤ感が変わってしまい、仕上がりにムラが出てしまいます。
完全に接着剤跡を消すには、一流のリペア職人に補修してもらうか、張り替えするしかありません。
全面的に張り替えるにしても、リペア職人に補修してもらうにしても、業者にとって大きな損失になりますので、リフォーム業者と長期間揉めてしまう可能性がとても高い施工不良です。
やはり、遮音フローリングの張り替えは、特に業者選びを慎重にしなければならないリフォームの一つと言う事を覚えておきましょう。
歩行感が所々違う
遮音フローリングはクッション性があるのが特徴ですが、経験の乏しい施工業者に依頼すると所々硬くなってしまい、歩行感にムラが出てしまいます。
硬くなってしまう場所は、フローリングが組み合わさるオスメスの「さね」部分で、さねの中や、さねの下に接着剤が入り込んでしまうことが原因です。
接着剤が多い分には良い様な気もしますが、適量でないと硬くなってしまう場所が出来たり、目地からウレタンボンドがはみ出たりして見た目も悪くなります。
部分的な張り替えは、張り替えた場所だけ色が合わずムラになることが多いので、張り替えになってしまうような業者に依頼はしたくないものですね。
施工不良ではないがその他にも問題が多い
遮音フローリングの施工不良と言うわけではありませんが、床のきしみ(床鳴り)や下地の不陸による問題も多いです。
きしみなどの床鳴り
特に気密性が高いマンションでの遮音フローリングは、湿気が多い季節に伸びて詰まった状態になりやすいです。
遮音フローリングはクッション性があるので、詰まったフローリングが沈み込む時にこすれて床鳴りする事があります。
床鳴りが発生しない様にゆるく貼ると隙間が開き、隙間が開かない様にきつく締めつけると床鳴りが発生してしまいます。
遮音フローリングはとても繊細な床材なのでちょうどいい加減がとても難しいのです。
>>プロが解説!フローリングが床鳴りする4つの原因とその対策について
下地の不陸
下地の不陸とは、フローリングを貼る面のコンクリート下地が平滑でないことです。
現在のマンションは「セルフレベラー」といって、ある程度平滑になっていますが、ひと昔のマンションのコンクリート下地はとても荒れています。
部分的に左官補修をして調整するようにリフォーム業者に依頼する方もいますが、フローリング以外の費用がとても掛ってしまうため、下地補修を見送る方も多いです。
特に、在宅リフォームでの不陸調整は難しいです。なぜなら、へこんでいる部分を左官補修で埋めるより、出っ張った部分を削る事が困難だからです。
完全な施工不良で不具合が発覚したら、業者に無償で直しを要求することになります。
しかし、遮音フローリングでの施工不良が多いリフォーム業者は、完璧に直すことができません。
なぜなら、遮音フローリングの部分的な補修作業はとても難しく、そもそも通常の施工が出来ない職人が、綺麗に部分張り替えなどの補修はできないからです。
どちらにしても、リフォームは後戻りする様な施工不良は避けなければなりません。
一度で綺麗に完工させられる業者を選ぶことが、リフォーム成功のカギとなります!
遮音フローリングの施工経験が豊富な職人さんがいる業者を選ぶ
どうすれば施工不良によるトラブルを回避できるのか心配ですよね・・・
経験年数20年、30年のベテラン大工さんに依頼すれば安心なの?
フローリングのリフォームって、「ベテラン大工さんが施工するのでは?」と思っている方が多いと思いますが、実は最近フローリング専門の職人さんを抱えているリフォーム業者さんが増えているのです。
なぜなら、フローリング専門の職人さんは、施工が早く仕上がりが綺麗だからです。
特に新築マンションを手掛けているフローリング職人さんは、厳しい大手ゼネコン基準の施工精度を持ち合わせていますので、トラブルに発展することは少ないでしょう。
ですので、マンションのフローリングリフォーム経験が豊富な職人さんがいる業者、もしくは新築マンションの施工もするフローリング専門の職人さんがいる業者を選ぶと良いでしょう。
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まとめ
今回、遮音フローリングの張り替えは、「施工不良が多いので注意しなければなりません」と言う事について詳しくまとめてみましたがいかがだったでしょうか?
遮音フローリングの張り替えは、あなたが間違って選んでしまった業者により、想定外のトラブルに巻き込まれてしまう可能性があるリフォームだったという事がおわかり頂けたと思います。
ですので、遮音フローリングのリフォームに失敗しない為には、施工実績が豊富な業者を慎重に選ぶべきです。
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